月30万円以上の予算を投じてショート動画に取り組む企業が増えています
昨今、企業のマーケティング担当者や経営者の方々から、ショート動画の活用に関する相談を受ける機会が急増しています。特に、採用活動や自社ブランディングを目的として、月額30万円から50万円という決して安くない予算を確保し、本腰を入れて取り組もうとする企業が増えているのは非常に喜ばしいことです。
しかし、多くの企業が動画そのものの「クオリティ」や「バズる企画」に目を向けがちである一方で、最も地味でありながら成果を左右する「配信頻度」と「継続体制」については、あまり議論されていないのが実情です。
一本の動画が偶然多くの人に見られることはありますが、それはあくまで一過性の現象に過ぎません。企業がショート動画を活用する本来の目的は、一時的なお祭り騒ぎを起こすことではなく、視聴者との信頼関係を構築し、最終的なゴールである採用や集客につなげることにあります。
TikTokやYouTubeショート、Instagramリールといったプラットフォームは、フロー型のメディアだと思われがちですが、実はストック型の側面も強く持っています。適切に設計されたアカウントであれば、半年前に投稿した動画が突然回り始め、そこから安定して求職者の流入や問い合わせが発生することも珍しくありません。
ここで重要となるのが「適切な配信頻度の維持」です。これから解説するのは、小手先のテクニック論ではありません。ショート動画という強力なツールを使いこなし、確実に成果を積み上げていくための、極めて現実的で泥臭い運用の指針です。
なぜ「週2本以上」の配信頻度が求められるのか?
ショート動画活用においては
「週2本以上」かつ「6ヶ月以上の中期運用」
が望ましいのが現実です。
これからその理由についてお伝えしていきます。
視聴者の生活リズムに介入するための物理的な接触回数
ショート動画の運用において、なぜ私たちが「最低でも週2本」という基準を設けているのか。その最大の理由は、視聴者の記憶と生活習慣に介入するためです。
人間の記憶は非常に頼りないものです。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「忘却曲線」の話を持ち出すまでもなく、現代人は日々膨大な情報の洪水を浴びています。たとえあなたの会社の動画が面白く、視聴者が「良い会社だな」と一度感じたとしても、次の瞬間には別の動画が流れ、翌日にはその感情は薄れてしまいます。
週に1回の投稿では、この「忘却」のスピードに勝てません。前回の動画で抱いた好意や興味が完全に消え去った頃に次の動画が届くことになり、いつまで経っても関係性が深まらないのです。
週2本から3本、つまり2〜3日に一度のペースで新しい動画が届く状態を作ることで、ようやく視聴者の意識の中に「よく見るあの会社」という認知スペースが確保されます。これが、採用や購買といった行動変容を起こすためのスタートラインなのです。
アルゴリズムに「アクティブなアカウント」と認識させる基準
人間だけでなく、プラットフォーム側のアルゴリズム(AI)に対しても、配信頻度は重要なシグナルとなります。
TikTokやYouTubeショートのアルゴリズムは、常に新鮮で質の高いコンテンツを求めています。長期間更新が止まっているアカウントや、忘れた頃にしか投稿されないアカウントは、プラットフォーム側から見て「ユーザーを楽しませる気がない」あるいは「稼働していない」と判断されるリスクがあります。
私たちが数多くのアカウントを運用してきた経験上、週2本以上のペースでコンスタントに投稿を続けているアカウントは、そうでないアカウントに比べて、おすすめフィードへの露出率(インプレッション数)が安定する傾向にあります。
これは、定期的な投稿活動そのものが、アルゴリズムに対して「このアカウントは活発に情報を発信しており、ユーザーをプラットフォームに留める貢献をしている」というポジティブな信号を送っているからだと考えられます。
週1回の投稿では「忘れられる」リスクが高まります
もう少し踏み込んで、現場の感覚をお話ししましょう。週1回の投稿頻度で運用しているアカウントの多くは、成長曲線が極めて緩やかか、あるいは横ばいのまま停滞することが多いです。
その理由は単純で、視聴者との接点が希薄すぎるからです。例えば、あなたが採用担当者だとして、週に一度だけ顔を合わせる候補者と、週に三度顔を合わせる候補者、どちらに親近感を抱くでしょうか。当然、後者です。これは「ザイアンス効果(単純接触効果)」と呼ばれる心理現象ですが、ショート動画の世界でも全く同じことが起きます。
特に採用動画の場合、求職者は複数の企業の動画を並行して見ています。週1回しか情報が出てこない企業は、毎日あるいは隔日で情報を発信している競合他社のアカウントに埋もれ、選択肢の土台にすら上がれない可能性があります。「忘れられる」ことは、マーケティングにおいて「存在しない」ことと同義です。
過去の動画が回遊されるための「面」を作る作業
配信頻度を高めることのもう一つのメリットは、アカウント内に動画のストック(在庫)が増えることです。
ある一本の動画がヒットして新規の視聴者が訪れた際、彼らの多くはプロフィール画面に飛び、過去の動画を数本チェックします。このとき、過去の動画が充実していればいるほど、視聴者は長時間そのアカウントに滞在し、企業への理解と関心を深めてくれます。
週2本の投稿を半年続ければ、約50本の動画が蓄積されます。これだけの数があれば、会社の雰囲気、社員の人柄、仕事の内容など、多角的な情報を網羅でき、視聴者がアカウント内で回遊するための十分な「面」が出来上がります。
逆に、投稿数が少ないスカスカのアカウントでは、せっかく興味を持ってくれた視聴者を受け止める皿がなく、みすみす離脱させてしまうことになります。配信頻度は、この「受け皿」をいち早く構築するためにも重要なのです。
現場のデータが示す「週2本〜週4本」という最適解
弊社ではTikTok運用代行を中心に、短尺動画(ショート動画)の制作・運用代行を手掛けています。この現場のデータから見ると「週2本〜週4本」というのが最適解であるということが見えてきます。
フォロワー増加数とCV率から見る最も効率的な投稿数
では、具体的に何本投稿すればいいのか。私たちは、クライアントの予算やリソースが許す限り、「週2本を最低ラインとし、可能であれば週3〜4本を目指す」ことを推奨しています。
これは単なる精神論ではなく、実際のフォロワー増加数やCV(採用エントリーや問い合わせ)の発生率に基づいた数値です。
私たちの運用データを見ると、週2本の投稿に切り替えたタイミングでフォロワーの増加スピードが明確に上がり始めるケースが大半です。さらに週3本、週4本と頻度を上げると、露出の絶対数が増えるため、それに比例して認知の拡大スピードも加速します。
しかし、ここで重要なのは「効率」です。週4本を超えて毎日投稿を行っても、一本あたりのクオリティが下がれば、再生数は伸び悩み、フォロワー増の効果も鈍化することがあります。つまり、労力対効果(コスパ)が最も良いスイートスポットが、多くの企業にとって「週2本〜週4本」の間に存在するのです。
毎日投稿が必ずしも正解ではない「質の維持」の問題
「毎日投稿こそが最強である」という言説を耳にすることがあるかもしれません。確かに、YouTuberやインフルエンサーとして広告収益で生きていくのであれば、毎日投稿は強力な武器になります。
しかし、企業の採用担当者やマーケティング担当者が、本業の傍らで、あるいは制作会社に委託して運用する場合、毎日投稿は現実的ではありません。
無理に毎日投稿をしようとすると、どうしても企画が粗雑になり、撮影や編集のクオリティが低下します。「とりあえず出せばいい」というマインドで作られた質の低い動画は、視聴者にすぐに見透かされます。それどころか、「この会社の動画はつまらない」「中身がない」というネガティブなレッテルを貼られ、ブランドイメージを毀損する恐れさえあります。
質を担保しながら、継続可能な最大公約数。それが「週2本〜週4本」なのです。
視聴者の熱量を維持するための最適な間隔
視聴者の立場に立って考えてみましょう。毎日同じ企業から宣伝のような動画が流れてくると、正直なところ「またか」と食傷気味になることがあります。特に、まだそこまでファンになっていない段階での過剰な接触は、逆効果になりかねません。
一方で、2〜3日に一回程度の頻度であれば、「お、また新しい動画が出ているな」と、程よい距離感で受け入れてもらえます。この「適度な飢餓感」と「定期的な供給」のバランスが、視聴者の熱量を長く維持する秘訣です。
週4本以上は「飽き」と「リソース不足」の境界線
ここで、週4本以上、あるいは毎日投稿を目指そうとする企業に対して、少し厳しい現実をお伝えしなければなりません。
私たちの経験上、企業の運用において週4本を超える投稿頻度は、明確な「飽き」と「リソース不足」の境界線となります。
まず「飽き」についてですが、これは視聴者の飽きだけではありません。制作サイド、つまり企業の担当者や出演する社員自身が、動画作りそのものに疲弊し、飽きてしまう現象が頻発します。ネタ切れへの恐怖、撮影スケジュールの調整、編集チェックの催促といった業務が日常業務を圧迫し始めると、動画のクオリティは維持できなくなります。これを「クリエイティブ・ファティーグ(制作疲れ)」と呼びますが、この状態に陥ると、アカウントは死んだも同然です。
また、リソースの観点からも、週5本以上の動画を「高いクオリティで」出し続けるには、専任のチームか、月額100万円規模の制作体制が必要です。月30万円〜50万円の予算感でこれを強行すれば、どこかで無理が生じ、結果として低品質な動画を垂れ流すことになります。だからこそ、私たちは「週2本〜4本」という、持続可能かつ効果的なラインを強く推奨しているのです。
最適な本数を左右する「競合性」と「運用体制」の変数
最適なショート動画配信数や頻度は、「競合性」と「運用体制」で多少異なってきます。
競合他社がひしめくジャンルでは投稿数でシェアを奪う必要があります
ここまでは一般的な推奨ラインをお話ししましたが、ビジネスにおける正解は常に相対的なものです。つまり、競合他社の動きによって、必要な投稿頻度は変動します。
例えば、あなたの会社が属する業界が、すでに多くの企業がショート動画に参入している「レッドオーシャン」だとしましょう。競合他社が毎日投稿を行い、視聴者の可処分時間を奪い合っている状況下で、週1回や2回の投稿では、存在感を示すのは容易ではありません。この場合は、当初の戦略として週4本程度のハイペースな投稿を行い、強引にシェアを奪いにいく判断も必要になります。
逆に、まだ競合が少ないニッチな業界や、BtoBの特定領域であれば、週2本の丁寧なコンテンツでも十分に第一人者のポジションを確立できるでしょう。重要なのは、自社のリソースだけで判断するのではなく、市場環境を見極めた上で「勝てる頻度」を設定することです。
採用動画における「信頼感」と投稿頻度の相関関係
今回のターゲットである「採用活動」において、投稿頻度は単なる露出数以上の意味を持ちます。それは「企業のバイタリティ(活気)」と「情報の透明性」の証明です。
求職者は、企業の公式アカウントを見る際、無意識のうちに「最終更新日」をチェックしています。もし最後の投稿が2ヶ月前であれば、「この会社は採用活動に熱心ではないのか?」「社内の雰囲気が変わってしまったのではないか?」という疑念を抱きます。
逆に、コンスタントに週2回、社員の笑顔やオフィスの様子が更新されている企業には、「常に動いている会社」「風通しの良い会社」というポジティブな印象、すなわち「信頼感」を抱きます。
採用動画において、動画の中身と同じくらい重要なのが、この「現在進行形で動いている」という事実そのものです。週2回の投稿は、求職者に対して「私たちはあなたたちを受け入れる準備が常にできています」というメッセージを発信し続ける行為に他なりません。
動画を出すだけでは不十分でありコメント対応のリソースが必要です
投稿頻度を議論する際、多くの担当者が見落としている決定的な要素があります。それは「コメント対応」です。
ショート動画は、一方的な放送ではありません。視聴者との双方向のコミュニケーションツールです。特に採用や集客を目的とする場合、動画についたコメントは「見込み客からの直接的な問い合わせ」と同義です。
ここで考えてみてください。もし週5本動画を投稿し、合計100件のコメントがついたとします。しかし、担当者が忙殺されて返信が追いつかず、放置されたコメントが溢れかえっていたらどう見えるでしょうか。「この会社は人の話を聞かない」「釣った魚に餌をやらない」という最悪のブランディングになってしまいます。
現場の鉄則として、私たちは「コメントへの返信率は100%を目指すべき」と考えています。なぜなら、コメント欄の盛り上がりこそがアルゴリズムによる評価を高め、さらなる拡散を生むエンジンだからです。
投稿数を増やすことでコメント返信が疎かになる本末転倒
動画の本数を増やすことにリソースを全振りし、その後のコミュニケーションをおろそかにするのは本末転倒です。
もしリソースに限りがあるのなら、無理に週4本投稿してコメントを放置するよりも、週2本に抑えて、その分ついたコメント一つひとつに丁寧に、温かみのある返信をする方が、最終的なエンゲージメント(ファン化)は圧倒的に高くなります。
特に採用動画では、「給料はいくらですか?」「未経験でも大丈夫ですか?」といった質問コメントが入ることがあります。これに対して、即座に、かつ誠実に回答できるかどうか。そのスピード感と誠実さこそが、動画のクオリティ以上に求職者の心を動かします。投稿頻度を決定する際は、この「運用(コメント対応)にかかる工数」も必ずセットで計算に入れてください。
6ヶ月間継続するための制作体制とスケジューリング
「6ヶ月間、ショート動画配信を継続する」
これには実行力が必要です。そのための制作体制とスケジューリングについて考えていきましょう。
週2本の動画を完成させるために必要な裏側の工数
「週2本の動画くらい、片手間でできるだろう」。そう考えている経営層がもしいるなら、それは大きな間違いです。たかが数十秒の動画ですが、ビジネスとして成果を出すクオリティで仕上げるには、想像以上の工数がかかります。
具体的に分解してみましょう。 まず、市場調査とトレンド分析に基づいた「企画立案」。次に、視聴維持率を意識した「台本作成」。出演者のスケジュール調整と「撮影」。そして、カット割り、テロップ入れ、BGM選定、効果音調整といった「編集」。最後に、内容のチェックと「修正」、そして概要欄の作成と「投稿作業」。
これら一連のフローを週2本分回すには、慣れているプロでも丸1日〜2日分の稼働時間は必要です。社内の担当者が他の業務と兼任でやる場合、この工数を甘く見積もると、最初の1ヶ月で確実にパンクします。月30万円〜50万円という予算は、単に動画を買う費用ではなく、これらの膨大な作業プロセスをプロにアウトソーシングし、継続性を買うための投資なのです。
企画から撮影までを一本化し編集時間を確保する
では、限られたリソースで週2本、月8本〜10本の投稿を半年間続けるにはどうすればいいのでしょうか。現場での正解は「まとめ撮り」一択です。
毎週撮影を行うのは非効率極まりありません。機材のセッティング、出演者の日程調整、撮影場所の確保など、撮影には多くの準備コストがかかるからです。
私たちは通常、月に1回、あるいは2ヶ月に1回の「撮影デー」を設け、そこで4本から8本分の動画を一気に撮影するスタイルを推奨しています。例えば、第1週に企画会議を行い、翌月の動画8本分の台本を固める。第3週に1日かけて撮影を行い、残りの期間で編集チームが順次仕上げていく。
このように工程をブロック化することで、毎週の締め切りに追われる自転車操業から脱却でき、クオリティを担保する余裕が生まれます。
社内担当者の負担を減らすための承認フローの簡略化
企業のショート動画運用における最大のボトルネック、それは意外にも「社内承認フロー」です。
動画が出来上がるたびに、課長がチェックし、部長がチェックし、修正指示が入り、また再提出……これでは週2本のスピード感には絶対についていけません。ショート動画はトレンドへの適応速度が命です。承認に1週間かかっている間に、その流行は終わっています。
成功している企業では、この承認フローを極限まで簡略化しています。例えば、「企画と台本の段階で合意を取り、完成した動画のチェックはNG表現(コンプライアンス違反)がないかの確認のみに留める」といったルール作りです。
あるいは、最初の3ヶ月はお互いのトーン&マナーを擦り合わせる期間とし、信頼関係ができたら、以降は現場担当者や制作代行会社に権限を委譲する。こういった「任せる勇気」を持てるかどうかが、半年後の成果を分けます。
動画のストックが心の余裕を生みクオリティを安定させます
最後に、精神衛生上の観点からも「ストック」の重要性を強調しておきます。
自転車操業で「明日出す動画がない」という状況は、クリエイターにとって最大のストレスです。焦って作った動画は得てして面白くなく、ミスも増えます。
理想的なのは、常に「2週間分(4本〜6本)」の完成動画がストックされている状態です。これだけの貯金があれば、例えば担当者が急に体調を崩しても、出演者が繁忙期で捕まらなくても、投稿を止めることなく運用を続けられます。
また、世の中で大きなニュースやトレンドが発生した際に、ストックがあるからこそ、緊急でそのトレンドに乗った動画を1本差し込むといった柔軟な対応も可能になります。
週2本の継続とは、毎週2本作り続けることではありません。計画的に貯金を作り、余裕を持って配信し続けるシステムを作ることです。
採用活動における「継続」がもたらすブランディング効果
TikTok運用を始めとしたショート動画を活用した「採用活動」においても「継続」とそれがもたらすブランディング効果が重要になります。
求職者は遡って動画を見ることで企業の「一貫性」を確認します
採用動画において、私たちがクライアントに繰り返し伝えている事実があります。それは「求職者は、バズった1本の動画を見て応募してくるわけではない」ということです。
確かに、きっかけはおすすめフィードに流れてきた1本の面白い動画かもしれません。しかし、人生の大きな決断である就職や転職を考える人間は、そこから必ずプロフィール画面に飛び、過去の投稿をスクロールして遡ります。これを私たちは「確認行動」と呼んでいます。
彼らが探しているのは「面白さ」ではなく「一貫性」です。「この会社はいつも楽しそうか?」「上司と部下の関係性は常にフラットか?」「言っていることに矛盾はないか?」といったポイントを、過去の動画アーカイブ全体を通してチェックします。
もし、投稿頻度がまばらで、ある時は真面目すぎ、ある時はふざけすぎ、といったブレがあると、求職者は「本当の姿が見えない」と不安を感じます。逆に、週2回のペースで半年間、一貫したトーンで社内の日常が発信されていれば、そこには嘘偽りのない「社風」が浮かび上がります。この蓄積されたアーカイブこそが、求職者の背中を押す最強の説得材料となるのです。
更新が止まったアカウントは採用意欲が低いと判断されかねません
逆のケースを想像してください。あなたが興味を持った企業のTikTokアカウントを見に行き、最新の投稿が「3ヶ月前」だったとしたら、どう感じるでしょうか。
「もう採用は終わってしまったのかな?」「広報担当者が辞めてしまったのかな?」「SNSすら続けられないほど社内が混乱しているのかな?」
ネガティブな想像は尽きません。デジタルネイティブ世代にとって、SNSの更新頻度は企業のバイタリティ(生命力)そのものです。ホームページのニュースリリースが1年前で止まっている企業が不安視されるのと同様に、ショート動画の更新停止は「採用意欲の喪失」あるいは「停滞」のシグナルとして受け取られます。
だからこそ、私たちは「週2本」を死守ラインとして設定しています。たとえ爆発的な再生数が取れなくても、コンスタントに時計の針のように動画が更新されていること自体が、「私たちは現在進行形であなたを待っています」というメッセージになり、機会損失を防ぐ防波堤となるのです。
半年間の定期配信が「入社後の安心感」の材料に
採用活動のゴールは「応募獲得」ではなく「入社後の定着」です。実は、ショート動画を半年間継続することは、この定着率(リテンション)にも大きく寄与します。
定期的に配信される動画を通して、オフィスの様子、社員の顔ぶれ、仕事の裏側、社長のキャラクターなどを「予習」できた内定者は、入社初日から「動画で見たあの人だ!」「動画で見た会議室だ!」と、職場に馴染むスピードが格段に早くなります。これを心理学用語で「熟知性の法則」と言いますが、動画による事前の接触回数が多ければ多いほど、心理的なハードルは下がります。
週2本、半年間で約50本の動画コンテンツ。これは単なる広告ではなく、入社後のミスマッチを防ぎ、早期離職を抑制するための、極めてリッチな「オンボーディング教材」としての機能も果たすのです。採用コスト全体で見れば、動画運用の費用対効果はここで回収できると言っても過言ではありません。
「ショート動画制作・運用代行」を活用して頻度を保つ
ショート動画配信頻度を保つという面では、「ショート動画制作・運用代行」を活用するというのが最も手堅い方法となります。
予算30万円〜50万円の範囲で依頼できる業務と頻度
ここまで読んで、「週2本以上の継続が重要」かつ「社内リソースだけでは厳しい」ことはご理解いただけたかと思います。そこで検討すべきが、外部パートナー(制作代行会社)の活用です。
月額30万円〜50万円という予算は、ショート動画運用において「松・竹・梅」で言えば「竹」の上位、つまりかなりしっかりとした体制を組めるラインです。この予算感であれば、以下のような依頼が可能です。
- 月8本〜10本(週2〜2.5本ペース)の完全パッケージ
- 企画構成・台本作成(プロの構成作家によるもの)
- 月1回の撮影(ディレクション・機材込み)
- 編集・BGM選定・サムネイル作成
- 月1回の定例ミーティングとレポート提出
逆に言えば、この金額を払って「編集だけやります」「素材は全部ください」という業者は割高です。また、「丸投げでOK」と言いながら、実際にはAIが書いたような薄い台本しか上がってこない業者も避けるべきです。この価格帯のパートナー選びで最も重視すべきは、「企画力」と「伴走力」です。
自社でやるべきことと制作・運用代行会社に任せるべきことの境界線
外部パートナーを入れる際、失敗する企業の典型パターンは「思考停止の丸投げ」です。いくら優秀な制作会社でも、あなたの会社の「空気感」や「業界の専門知識」までは完全に把握できません。
成功する体制を作るためには、役割分担を明確にする必要があります。
- プロ(制作会社)に任せる領域:
- アルゴリズムに基づいたトレンド分析
- 視聴維持率を高めるための構成・台本テクニック
- クオリティの高い撮影と編集技術
- 配信スケジュールの管理
- 自社(担当者)が握るべき領域:
- 動画で伝えたい「自社の強み」や「NGライン」の定義
- 出演する社員のキャスティングと日程調整
- 現場のリアルな専門知識やエピソードの提供
- コメント欄への熱量の高い返信(※ここは社員がやるのがベストです)
制作会社を「下請け」ではなく「編集部員」としてチームに迎え入れる感覚。このスタンスを持てる企業だけが、週2本の投稿を半年間、高い熱量で継続することができます。
動画制作・運用代行会社と定例会議を行い数字を見ながら本数を調整する
ショート動画活用においても月1回の定例会議は必須です。ここで「今月は再生数が伸びなかった」と一喜一憂するのではなく、ドライに数字を分析し、次月の戦略を練り直します。
例えば、「今月は週2本投稿したが、視聴維持率が高く、コメントも活発だった。来月は予算内で編集の工数を少し簡易化し、その分本数を週3本に増やしてリーチを拡大できないか?」といった相談をするのです。
あるいは、「採用のエントリーが増えてきたので、来月は本数を週1本に減らし、その分1本あたりの構成を作り込んで、より深い会社理解を促す長尺の動画にシフトしよう」という判断もまた正解です。
頻度は固定されたルールではありません。パートナー企業と膝を突き合わせ、事業のフェーズに合わせて柔軟にチューニングしていく変数です。30万円以上の予算は、動画という納品物だけでなく、こうした「戦略的な壁打ち相手」を確保するための費用でもあるのです。
適切な頻度での継続こそがアルゴリズムと視聴者を味方に
長くなりましたが、ショート動画活用における「配信頻度」の正解について、現場の視点からお話しさせていただきました。
結論として、「週2本」という投稿頻度は、アルゴリズムに認知され、視聴者の生活習慣に入り込み、かつ企業の運用体制が破綻しないための、最も合理的で堅実なラインです。
そして、この頻度を維持するためには、担当者の気合いや根性に頼るのではなく、撮影のストックを作り、承認フローを簡略化し、信頼できる外部パートナーとタッグを組むという「仕組み化」が不可欠です。
まずは「週2本」を確実に実行できる体制を整えることから始めましょう
冒頭でお話しした通り、ショート動画は一攫千金の宝くじではありません。時間をかけて耕し、種を蒔き、水をやり続けることで、半年後、一年後に大きな果実を実らせる「農耕型」の施策です。
最初の2ヶ月、反応が薄い時期があるかもしれません。それでも、週2回の投稿を止めないでください。その静寂の期間こそが、アルゴリズムがあなたのアカウントを学習し、将来のファンが過去動画を回遊するための土台を作っている時間なのです。
月30万円〜50万円の投資を決断されたあなたの会社には、それに見合うだけの魅力と伝えるべきメッセージがあるはずです。それを一過性の花火で終わらせないために。まずは「週2本、半年間」という約束を、チーム全員で共有することから始めてみてください。
現場でお会いできる日を楽しみにしています。





